社会がおかしい

今や社会全体が個々人の内部に潜む無意識の攻撃性にさらされている。

自粛警察なんてのが好例だろう。

かたや政治の迷走にも歯止めがかからない。政府の要人は何かにつけて「専門家の方々と・・・」というフレーズを挿入する。しかし、肝心のところでは専門家の警鐘を無視するのである。そして、いざとなったら「専門家がこういったものだから」という言い逃れをあらかじめしているに過ぎない。

GOTOキャンペーンが感染者を増やしているのではない、というのは部分的には間違いではない。しかしながら、「エビデンス」がないことに関しては、エビデンスは実はあるともないともいえないのであった。つまり、医学的なエビデンスというのは、吟味した検証と医学論文における査読などを経てアカデミックになされるもので、早くても数カ月はかかるものだし、掲載されても後から覆されることだってまれなことではない。

エビデンスがない（というよりもまだ構築されていない）段階においては、常識的思考が重要だ。人が移動するキャンペーンというのは、感染を増やす可能性は多少ともあるが、「減らす可能性はまずない」ことは自明である。だから、感染者の急増によってGOTOを止めるというのは、「わざわざ言うまでもないこと」であったはずなのに、結局政府は誰かに忖度したのかどうかは不明ながら、周りから言われたからしぶしぶやめたみたい。これは他国では見られない現象であった。

成人式の開催が各所で批判されている。そもそも成人式自体の必要性という問題はあるが、政府のメッセージは中途半端なもので、「イベント開催は５０００人以下または会場の半数以下」というものであった。つまり、その程度の規模のイベントなら感染対策に注意しつつ開催していいといっているのである。開催した自治体はその程度の規模だったのだろうが、杉並区長は国や都知事から自粛を迫られたという。これを世にダブルスタンダードというのではないか。成人式を止めろというのであれば、はっきりそう言えばいいだけのことだ。だがそうすると、今行われている大相撲だって中止しないとやっぱり二重基準になってしまうし、結局は内部矛盾した政策しか打ち出せないのだ。

結局日本は新型コロナ対応においては、アジアの中では成績がいいとは言えなくなった。中国・韓国・台湾・ベトナムに比して、人口対死者数はかなり多い。欧米よりは優れているという言説もあるが、それは何らか人種・遺伝・ファクターXによるものであって、日本国が優れているというわけではなさそうだ。

まあ、いろいろ言いたいことはあるが、せっかくの新年なので、まずは無事に生きて居られることに感謝しつつ、事態の経過をフォローしてまいりたい。